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EC売上の60%は既存顧客から|リピーター施策とLTV設計の本質

EC売上の60%は既存顧客から|リピーター施策とLTV設計の本質

いつもご覧いただき、ありがとうございます。運用支援の窓口の角田です。

「広告でアクセスを増やす方向」と、「届いた後の体験を厚くする方向」――同じ予算をかけるなら、どちらの方が伸びるか。私自身、自社EC「Fresk」を運営していて、これは本当に何度も検証してきたテーマです。

 

結論を先にお伝えすると、ノベルティ・同梱物・ステップ配信・FAQの差し込みなど、入口の「向こう側」に投資した方が、結果としてROAS(広告費用対効果)が安定しました。広告で無理に押し込まなくても、既存顧客がきちんと回って、新規が口コミで入ってくる構造ができてきたんですね。逆に、入口だけ広げていた頃は、広告費を増やすほどROASが悪化していくフェーズもありました。

 

業界では「EC売上の60〜70%は既存顧客から」とよく言われますが、これは肌感覚としても、本当にその通りだと感じています。今回は、リピート設計とLTV(顧客生涯価値)について、私たちの検証経験を交えながら、整理してお話しします。

新規獲得コストはリピート維持コストの5倍

新規のお客様を1人獲得するには、広告費・梱包資材・初回送料・キャンペーン値引きなど、たくさんのコストがかかります。一般的に「新規獲得コストは、リピート顧客の維持コストの5倍」と言われていますね。

 

新規だけで黒字化を目指すと、事業はかなり苦しくなります。広告予算の天井に当たった瞬間に、成長が止まってしまうんですね。逆にリピートを伸ばせば、広告を増やさなくても売上が伸びていく構造を作れる。これがEC事業の収益構造の、本質だと考えています。

LTVを構成するのは「単価」よりも「回数」と「期間」

LTV(Life Time Value)の式は、ざっくりと次の通り。

LTV = 平均購入単価 × 平均購入回数 × 平均継続期間

 

EC事業者さんがやりがちなのは、「客単価を上げる」「セット販売を増やす」など、単価ばかりに目を向けるパターンです。実は、購入回数と継続期間の方が、LTVに与える影響は大きいんですね。

 

Freskでも、客単価を5%上げる施策よりも、購入回数を1.3倍にする施策の方が、利益のインパクトが圧倒的に大きかった。広告費を増やすより、リピート率の改善に投資した方が、同じ努力でも事業の伸び方が違ってきます。

同じCPAでもクリエイティブで「ACSとLTV」が変わる

これは最近、Freskで観察していて、面白かったことです。同じCPA(顧客獲得単価)の広告でも、クリエイティブによって、ACS(平均客単価)とLTVに、明確な差が出ました。

 

つまり、「広告のCPAは同じだから、どっちも同じくらい良い広告」と判断していた打ち手の中に、実は「LTVが2倍違う広告」が混ざっていた、ということなんですね。これに気づいてからは、CPA・ROASだけで広告判断するのが、ちょっと怖くなりました。

 

運用フェーズが上がってくると、CPA・CTR・CVRだけ見ていては足りない。広告経由のユーザーが、その後どれくらい再購入するか、客単価がどう推移するか――ここまで見られる体制を作るのが、本当の意味での、EC運用の成熟度だと感じています。

リピーター施策の主要4チャネル

メルマガ

古典的なのですが、購入完了メール・購入後フォロー・誕生日メールなどの基本動線は、今でも有効だと感じています。開封率は10〜20%程度。

LINE公式アカウント

開封率が圧倒的に高い(60%以上)のが特徴です。新作・セール・期間限定など、即時性のある告知に強い。

リターゲティング広告

サイト訪問者・購入経験者に対する、再アプローチ。新規広告より、単価が圧倒的に安いんですね。

リアル接点(同梱物・サンキューカード)

商品と一緒に届く、手書き感のあるカードやリーフレット。デジタルだけで取りこぼした接触を、物理で補う。地味なのですが、強い武器です。

購入後7日間の「初回体験」が継続率を決める

Freskで一番効果を実感しているのが、ここなんですね。お客様が初めて買ってから商品が届くまでの数日間で、「期待を超える体験」を作れるかどうか。これで、2回目以降の有無が、ほぼ決まってしまう感覚があります。

  • 注文確認メールの即時配信(自動だが、文章は事業者が手をかける)
  • 発送通知メールに、世界観を載せる
  • 同梱物の質(パッケージ・サンキューカード・取扱説明書のトンマナ)
  • 商品到着後3日以内のフォローメッセージ

注文確認メールが「自動で送られた事務メール」のままだと、ブランド体験は確実に薄れます。一つひとつのメールに世界観を入れるだけで、お客様の「届くまでが楽しい」が生まれる。これは、お金がかからない割に効果が大きい打ち手の、典型だと感じています。

「1回購入→2回購入」の壁を越える設計

EC事業の世界では、「2回購入してくれたお客様は、5回以上買い続けてくれる確率が大きく上がる」と言われています。つまり、1回目→2回目の壁を越えることが、リピート設計の最重要ミッションなんですね。

 

初回購入後30日以内に仕込みたい施策の例は、こんな感じです。

  • 「商品の使い方コンテンツ」を、メール・LINEで配信
  • 「あなたへのおすすめ」商品の提案
  • 初回購入から30日以内の、限定クーポン配布
  • 商品レビュー依頼(投稿してくれたら、次回特典)

これは「自動」で回せるよう、メール配信ツール・LINE公式・MAツールを、連携させておくのが理想です。手動でやっていると、必ず途中で止まります。

LINE公式アカウントを軸にした再接触設計

2026年現在、ECのリピート設計の主軸は、LINE公式アカウントだと感じています。開封率・即時性・ブロック率の低さ、どれを取ってもメルマガを上回ってくる印象です。

 

Freskでは、LINEを「お客様との一番近い接点」と定義していて、Instagramよりも個人感のある発信を心がけています。新商品の入荷案内、限定セールの先行案内、スタッフのおすすめ。Instagramが「世界観の発信基地」だとすると、LINEは「お友達のおすすめ」のような距離感、と私の中では位置づけています。

 

この使い分けができてくると、新規広告に頼らずに、既存顧客の繰り返し購入だけで売上が積み上がっていく感覚が、出てきます。

定期購入は「全EC事業者の選択肢」になっている

定期購入モデルは、化粧品・健康食品・コーヒー・ペットフードなど、消耗品系のEC事業者さんにとって特に強い選択肢です。LTVが平均で2〜3倍に伸びる、売上予測が立てやすくなる、お客様の手間も減る、と良いことが多いんですね。

 

ただし注意点もあります。解約申請の手間や、購入回数の縛りの設計を間違えると、クレームの温床になります。「いつでも解約できる」「マイページからすぐ手続きできる」を満たさないと、いまの消費者の方は離れていきます。短期の数字より、ブランドの信頼を守る方を優先してほしいところです。

リピート設計でやりがちな3つの誤解

「リピートは勝手に増える」

商品がよければ勝手にリピートする、というのは半分本当で、半分間違いだと感じています。再接触の機会を作らないと、お客様は事業者の存在を忘れてしまうんですね。LINEもメルマガもなしで、売上だけ伸びるECは、ほぼ存在しません。

割引きクーポンで釣りすぎる

クーポンを連打してしまうと、お客様が「定価では買わないクセ」がついて、利益率が下がっていきます。クーポンは「価値の対価」として使う設計が重要、と私の中では定義しています。

LTV計算をしていない

「CPAが3,000円」と数字だけ見て、一喜一憂しても、LTVが分からないと、判断軸がブレていきます。最低でも四半期に1度、LTVを計算する習慣を作ってほしいところです。

入口を広げるより、入った後の体験を厚く

冒頭の話に戻ります。Freskで広告費を増やしていた頃、ROASは安定しませんでした。同じ予算をノベルティ・同梱物・初回体験の設計に回した方が、結果として広告のROASまで安定したんですね。これは、私自身、目の前の数字に振り回されないと気づけなかった、発見でした。

 

新規ばかりを追っている事業者さんは、一度、3ヶ月だけ広告費を半分にして、その分を初回体験の設計に投資してみてください。LTV・リピート率の見え方が、確実に変わってくると思います。それを実感した瞬間から、EC事業のお金の使い方が、違ってきます。

 

入口を広げるより、入った後の体験を厚く。少し間を置いてもう一度、お伝えしておきます。ここの順序が、長期的な売上の伸び方を決めると、私の中では確信しています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。今後とも、宜しくお願い申し上げます。

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